ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン7巻のネタバレ感想とあらすじ
ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン7巻の公式あらすじ
続いて、以下の管理人オリジナル「感想とあらすじとネタバレ」を見て下さいね。
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ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン7巻の感想とあらすじとネタバレ
プロローグ幼いころ(8歳)のヤトリシノ・イグセムは、馬に乗りながらかなりの時間、移動をしています。向かうところは帝国軍全域鎮台の基地。。ただ、ずっと回り道をさせられているような。。そんな不安の中、やっと目的地に着きます。そこにはヤトリを歓迎するように複数人が待ち構えています。そして、ある仕掛けを作動させます!そこには人工的に作られた虹が!思わぬ歓迎に心が躍るヤトリ。そこに「旭日連隊(グラ・メストエリ)」連隊長のバダ・サンクレイは自分の娘のようにヤトリを歓迎します。そして、ちょっと遠回りさせたのは、この仕掛けの一部が故障してしまったため、必死に直していたからといいました。 そこには、今まで必死に修理を手伝っていた同年代の男の子もいます。これが初めてのヤトリとイクタの出会い・・・
第一章 旭日の日々ヤトリがグラ・メストエリに遊学にくる経緯ですが、それはどうもバダ大将の方からの誘いだったみたいです。3か月の期限付きですが。今となってはバダ大将の意図はわかりませんが、同年代の息子と親友の一人であるソルヴェナレス・イグセム元帥の娘ヤトリを合わせたかったのかもしれません。。
ヤトリは早くに母を亡くし、父親に「イグセム」として育てられたため、同年代の友だちもおらず、剣技と軍の規律の中のみで生きていました。父親に甘えるということもしらず、当然敬語です。8歳にして完璧な軍人です。ある意味洗脳ですね(^_^;)。そんなヤトリのことをバダは気にしていたのかもしれません。。
ヤトリは、およそイグセムの軍隊とは勝手が違う、グラ・メストエリの面々に最初は戸惑いつつも、同年代のイクタがいたためもあったのか、徐々に溶け込んでいきます。グラ・メストエリには、科学者のチームもおり、その中にはアナライ・カーンもいました。アルデラ教の教義ギリギリの研究なども当時は自由にできていたんですよね。
ヤトリは、グラ・メストエリにきても日課となっている剣の鍛錬は欠かしません。一人で誰もいない所で敵を想定しての「想戦」をします。妥協なき想念により、イメージ上の敵からの攻撃でも体にあざができるくらいです。ここまでくると奇跡に近いですね(^_^;)。
そんな日課をこなしつつ、イクタと一緒にバダからの「任務」(半分子供のいたずらのようなものです)をこなしたり、サンクレイ家の食卓に同席するなど、人間らしい生活をしていきます。イクタの母親、ユーカ・サンクレイの手料理も食べてました。ユーカはキオカの出身みたいでちょっと言葉が片言ですが、その美しさにヤトリも息をのむほどだったみたいです。イクタがマザコンになるのもしょうがないかもしれません。。。
ふと思ったのですが、イクタの母親はもともと今上陛下のお手付きだったようです。それをバダ・サンクレイに与えたと以前シャミーユが言ってました。よくある話かもしれませんが、実はイクタはバダの実の子ではなく、今上皇帝陛下の隠し子なんてことは・・・ないでしょうかねぇ。。。
そんな幸せだった日々を夢で見ていたヤトリは目を覚まします。ヨルンザフ大将が帰還してきたんです。早速状況を聞きます。陛下の身柄は旭日連隊に抑えられたこと、ヨルンザフがトルウェイと戦って敗れたこと。ケガを負っているので指揮ができず、ヤトリが捜索部隊の総指揮を引き継ぐことなどなどです。ヤトリとしては複雑ですよね。。
一方、イクタはシャミーユとともに、今回の混乱の原因である宰相トリスナイ・イザンマと対峙しています。そしてイクタは冷静に状況を分析し、今回の三つ巴の様相自体、トリスナイの思惑通りだったことに気づきます。わざわざヒオレド鉱山の奪取作戦そしてそれに元バダ大将の左腕だったシバ少将の隊をあて、そこにバダの息子のイクタそしてシャミーユ殿下を行かせるなど、振り返れば意図が見えてきます。
そのうえで、トリスナイはシャミーユとイクタに帝国の実権を取ってほしいような感じです。。なんででしょう?そんな中シャミーユがさらなる爆弾発言を。トリスナイは自分の叔父にあたる、つまり、今上陛下の実の弟だということを言います。それを肯定するトリスナイ。でもなぜ皇族にはなっていないのか?それはトリスナイの体に障害があったためです。肋骨が欠損又は不整形のため、心臓は肋骨に守られることなく皮膚の下に脈打っている状態です。皇族は神聖にして完璧な存在でなくてはならず、そうでないトリスナイの存在は闇に葬られたようです。殺されなかっただけよかったですが。。
そんな話をする中、今度はトリスナイの方がとんでもないことを言い出します。シャミーユも自分と同じように「なかったもの」にされそうになったんだと。。当時の今上皇帝は自分の子供同士が殺し合うのを止めることもできず、命の危機にさいなまれていました。ただ女性を抱いているときだけは忘れることができるということで子供ばかりは増えていく一方。シャミーユが生まれた時はもういらないから殺せとまで言ったそうです。それを止めたのが自分だとトリスナイは言うんです。今となっては本当のことなのかもわかりませんが。。。
シャミーユの精神を着実に削っていくトリスナイは、ここにきてカードを切ります。今から「帝室会議」を開催することを宣言します。ただ、列席している皇族はシャミーユのみ。よって、皇位継承権1位はシャミーユにと言いだします。帝室会議の場にこれないような皇族はNGだと持論を展開します。そして、さらに次期皇帝になる条件を出します。それは「イグセムを滅ぼすこと」。なぜ?正直ちょっとこの論理がわかりません。。。ただ、これにはイクタも切れて、生かしておく理由がなくなったといって、トリスナイの射殺を控えていた風銃兵たちに指示します!これで佞臣トリスナイは死んでハッピーエンドかと思いきや、そうとはならず!?
突然皇帝のパートナーたる側付き精霊がしゃべりだします!内容は、簡単に言うとトリスナイの死亡確認は当該AEシリーズ(←なんでしょうねこれ?多分精霊たちを形作っているシステムなんでしょうが)に課せられた人類援助規定のうち、カトヴァーナ帝国に関する項目の初期化スイッチになっているそうです。なので、実行すると帝国の人類の生存コストが10倍以上になってしまうので、攻撃を中止しろというものでした。具体的にはおそらくすべての精霊の強制停止みたいなことになるようです。。
これは想像もできませんでしたね。トリスナイは、ラ・サイア・アルデラミンとの政治交渉で自分に大司教神官位を与えさせ、側付き精霊に自分の存在がいかに有用かを説得し、側付き精霊の特権を使ってこのような保険を付与させることに成功したんです。精霊ってどうも機械的ですよね。なのでロジックに穴があるようで底をつかれたようです。。
思わぬ展開にイクタもその場で対処できず一旦引き上げていきます。第一ラウンドは残念ながらトリスナイの勝ちです。憔悴しきったイクタとシャミーユは仲間の元に戻り状況を説明します。騎士団連中と話し、まずはトリスナイをすぐにどうこうするよりもまずはレミオン派と合流しクーデターを鎮静化することを優先しようという話になります。
そこまでまとめてイクタとシャミーユは睡眠をとるために席を外します。やはり睡眠不足は思考が鈍りますからね。。。
第二章 ふたりでひとつヤトリがグラ・メストエリに来てしばらく経ちました。すっかりイクタと打ち解けていつも二人一緒にいるみたいです。今日は朝から沼で釣りをしています。真剣そのものの二人は口をきくこともなく。。。今日の「任務」は沼の主を釣り上げることのようです。一人では難しい任務でしたが、二人ならばということで、イクタの竿にあたりがあり必死に引っ張っているところにヤトリが短剣を持って飛び込み、致命傷を負わせ、やっとこそさ二人かかりで釣り上げました!大きさなんて大人一人分ぐらいですからね!
その後ずぶ濡れになった二人は、イクタのうちでお風呂に入ります。まだ8歳ですからね。当然?一緒に入ります。そのときイクタはヤトリを意識していたようですが、ヤトリはそんなことはお構いなしみたいでした。。。
二人の論じているのは、現場指揮官と司令官の職務遂行能力に関する問題であり、そして部下の使い方の違いだと言います。そして、ただ議論するだけではわからないこともあるので、実際にやってみようということになります。どういうこと?と思いきや、実際に一個大隊(600人)を貸すのでこれを指揮して、これから出す「任務」を遂行するようにと。。
一個大隊って600人ですよ!?それを8歳に子供に指揮しろとはどんだけ英才教育なんでしょうね(^_^;)。この大隊を二人が交互に現場指揮官と司令官の立場で「任務」に対する計画を立案し、それぞれの立場で遂行することになります。司令官は作戦立案・部隊編成・兵站の整備などをするのですが、その後の実際の作戦行動中は一切口出しできず、実際の運用は現場指揮官役にゆだねるというもの。
当然現場指揮官は司令官の命令通りに実行する必要があります。おたがいに司令官、現場指揮官を実際にやってみて、彼らも机上の理論がどれだけ現実とかけ離れているかを身をもって感じます。最初はお互いの意見を主張するだけでしたが、二人で一緒に考えるようになって徐々に改善されていきます。具体的には、司令官は作戦を企画立案しますが、どうしても現場の状況によって柔軟性に欠ける面もあるので、ある程度は現場指揮官の権限にゆだねた方が効率的な運用ができると気づきます。
いくつか大隊を率いた「任務」を遂行後、バダ大将は二人に感想を聞きます。二人とも素直にどちらが正しいとかではなく、自分たちだけではどうしようもなく下士官などに助けられてばかりだったとも言います。それを聞いて、バダは戦争っていうのは、一人の英雄やら猛将がするものではなく、みんなでやるものなんだ、ということを教えます。
やっと大隊を使っての任務から解放され、その反動で引っ張りだこの二人です。今日は、科学者たち5人と一緒に環境調査に行くことになってました。基地から半日ぐらいのところにある小屋で2,3日泊まって周辺の植物の採取や地形の測量をするんです。ただ、測量器具を持ってくるのを忘れたため、イクタとヤトリを小屋に残して他の面々は器具をとりに帰ります。片道半日なので翌日に科学者たちが戻ってくる算段です。ただ、ボロ小屋で科学者たちが戻ってくるのをぼけっと待っているのも退屈ということで先に環境調査を始めようとします。
が、そこで予想外のトラブルが!?オオカミの群れに襲われてしまいます!!ファーストコンタクトはとっさのことで、イクタ、ヤトリは小屋に逃げ込んでどうにか助かります。普段はこんなところまでオオカミは来ないのですが、どうも雨不足などで満足な食事もとれず、人里近くにやってきたみたいです。全部で7匹もいます。オオカミたちはあきらめず小屋の周りにいます。当初は籠城も考えますが、戦闘能力のない科学者たちがここにきても犠牲者になるだけということで、2人で撃退することになります。
日ごろの「任務」のおかげで、速やかに作戦を立案して作戦実行です。おおかみたちはもう何日もまともな食事をしていないので、エサにつられてイクタ達の策にはまります。ただ、群れのリーダーは結構頭がよく、また、運動神経も抜群でイクタ、ヤトリは追い詰められてしまします。小屋の中にまで入られ、緊急避難用に用意していた机を倒して、箱のようにした中に逃げる二人。そこで、ヤトリは自分が死んでもイクタは助けると言いだします。
しかし、それを聞いたイクタはぶちぎれ。保護者のようなことを言うな。僕たちは二人しかいなくて、オオカミとの戦力差を考えても1人では太刀打ちできない。二人で1人なんだといって、絶対に一緒に帰ろうと誓います。ヤトリはそのイクタの言葉に自分の考えを改め、お互いが自分の半身のように戦うことを誓います。その結果、4匹までオオカミを倒し、リーダーの前足の右はヤトリが切り落としたところで、オオカミも退散していきます。。。うーん、無事でよかったです。
あっという間の3か月で、遊学の最終日。イクタとヤトリは再会を誓います。ヤトリにとってはかけがえのない3か月でした。。
その数か月後、事態は急転直下します。バダ・サンクレイ大将が勅命を無視した部隊運用をしたということで捕まってしまいます。しかも軍事裁判を待たずに獄中で亡くなったとも。イクタやユーカは行方不明に。。
そんな報を聞いて、ヤトリは何度となく父ソルヴィナレス・イグセムになぜ?と問いただしますが、父は黙して語らず。バダをとらえたのは、ソルヴィナレス・イグセムだったにもかかわらずです。。。何か裏がありそうですね。
第三章 さようならイクタとシャミーユは、最初のトリスナイとの会談後、熟睡して英気を養っていました。目を覚ますと既に16時間も寝ていたことに。イクタは体力のみならず知力の回復も実感し、再度トリスナイとの会談に臨みます。もっとも、今回はシャミーユは連れて行きません。
トリスナイはイクタが一人できたことに不満を言いますが、イクタは取り合わず。現皇帝をこんな心神喪失状態にしたのはトリスナイが長年において毒を盛ったからだろうと推測します。そのことを皇帝の側付き精霊にもいいますが、すぐに精霊が考えを変えるわけもなく。。。精霊って多分AIみたいなものなんでしょうね。とそこでイクタは手の内をあかして、レミオン派と合流後ゆっくりとトリスナイの扱いや皇位継承権の話をすればよいと言い切りますが、トリスナイはそんなことを許しません。
そもそもレミオン派が合流に遅れているのは後方で離反者が出たからなんですが、それを画策したのもトリスナイだったんです。彼は帝室直属の内諜部隊を各勢力の中に紛れ込ませ情報収集や妨害工作をさせていたんです。レミオン派が遅れる結果、イグセム派が先にこの地に来ることになり、戦いは避けられないとも。。ただ、イクタは皇帝の身柄がこちらにある以上、彼らも無理な力押しはできないと切って捨てますが、それさえもトリスナイの想定内だったようです。
ここでトリスナイはさらにカードをきり、勅命を玉音放送で流します。内容は自分(皇帝)は今逆賊につかまっているが、自分の身の安全はいいから逆賊をうて!といいます。それが帝室に対する忠誠だと。これに従わないのも逆賊と同様だと言います。この結果、イグセムとの正面衝突は避けられない局面に。さすがのイクタもしてやられた!とばかりに席を立ちます。
玉音放送を聞いていたイグセム陣営も色めき立ちます。ただ、中央の元帥からの指示が来ることを待つことになります。もう正面衝突は避けられないのでしょうか。。
イクタは、イグセムとの戦闘は避けられないと早々に判断してます。今いる疫病の隠れ里では守りには不適切ということでさらに南下して岩肌のむき出した荒野に向かうことを決意します。ただ、ここも今いる場所から見れば守りに良いというだけで絶対的に有利というわけではないです。南下をしつつも兵の士気は低いです。相手があのイグセム(ヤトリ)ですし、南下しても拠点防衛に最適な場所もなく、じり貧です。
ただ1つ光明があります。それはレミオン派の援軍です。これがくれば、武力を背景にどうにか一方的な展開ではなく、交渉のテーブルにもっていくことも可能と考えています。とそこに、やっとレミオン派からの伝令が来ます。そして、3000人の援軍が向かっているが、4日はかかると言います。イクタはさらに1日かけて南下をするので、計5日で援軍に駆けつけてほしい旨を伝えます。まさに綱渡りですね。。幸い拠点防衛に適した岩石地帯を見つけそこを決戦の場にします。それは複数にわたって岩石が隆起してちょっとした岩山のようになっているところです。まだ点はイクタ達を見捨ててなかったということでしょうか。
そこに陣を張るイクタ達をイグセムの斥候も確認します。その報告がヤトリのところに届いたのと同じころに、中央のイグセム元帥からの命令書が届きます。将校らが見守る中、ヤトリは父親からの命令書を読みます。そこにははっきりとイクタ・サンクレイを誅殺せよと書かれています。予感はしていましたが、現実を受け入れられないヤトリ。5分以上も放心状態の中、将校たちも動揺しまくります。が、かろうじてヤトリは「時間を、もらう、わ」とだけ言って自分の天幕へ。。
ヤトリは一人天幕の中で、かつてイクタの副官スーヤに言った儀式をすることを決意します。。
ヤトリは一人、イクタと再会したころを思い出します。帝立シガル高等学校に入学したときです。当然ヤトリは新入生代表として挨拶をしています。まぁ、エリートですからね。。。あれから(バダ・サンクレイが死んでから)4年が過ぎています。とそこに思わぬ人物から声をかけられます。ヤトリは最初誰かわからなかったのですが、イクタであることを気づき、驚愕するとともに喜びます。よく生きていてくれたと。。。そして、バダ・サンクレイが殺された経緯やその後のイクタとイクタの母ユーカのことを聞きます。
バダ大将は勅命に違反した軍の運用をしたというのですが、その内容はキオカから敵軍が攻めてきていたにもかかわらず、何もするなというもの。要は座して死ね、みたいな命令ですよね。。。でもこれには裏があり当時イグセムを排斥したがっていた内閣の陰謀でイグセムが到底承諾できない勅命をださせて、それにイグセムを違反させて、処罰(処刑)しようとしていたんです。それを察したのかバダ大将は自ら生贄になることを覚悟でキオカ軍と交戦し、敵を退かせますが、その結果勅命違反の国賊として獄中で死んでしまいます。
イクタとユーカにも追手がかかりますが、2年間山の中でどうにか生き延びます。が、もともと体の弱かったユーカは倒れてそのまま帰らぬ人に。。イクタは母親が死んだことで指名手配(親子)の内容とは状況が変わったことから山を下り、行き倒れているところをソローク孤児院にいた光精霊スクに助けてもらったんだそうです。
それでその孤児院の推薦枠に、シガル高等学校があり、イクタは入学したとのこと。肝心の入学の目的は父親・母親の復讐ではなく、この未来のないカドヴァーナ帝国からヤトリをさらいに来たんだと言ってのけます。
それから二人の学生生活がスタートしますが、表向きは二人はほとんど接点はないです。ただ、放課後の「任務」と称したイクタの考えた悪さ?では身分を隠して自由奔放なことをやってました。例えば、偽物の宝石を売りさばいている詐欺師を懲らしめたり、窃盗団を退治したり、汚職まみれの官吏を暴露したり、人さらいから子供を助けたり。
イクタとしてはこの国の腐った部分をみせてヤトリに出奔する意思を固めさせたかったのかもしれません。が、悲しいかな、イグセムである彼女は国を捨てるという選択肢はないんです。
そして、ある事件のおり、イクタはヤトリに自分の子を孕ませようとまで本気で考えます。が、ヤトリは悲しい顔をしつつもそれでも私はイグセムであることをやめないと言います。本当はお互い相思相愛なのになんか切ないですね。。。
ヤトリはヤトリで、高校卒業後に控えている高等士官試験で手を貸してくれれば望む職をイグセムが用意するという方便を使って、イクタとのつながりを維持しようとします。ホント、ヤトリも不器用ですよね。。
そんな思い出が走馬灯の如く頭を駆け巡り、そして今、ヤトリはもう一人の自分(イグセム)にめった切りにされ、ヤトリシノという人格そのものを細切れにし、そして粉になるまでひき潰して、火にくべ燃やします。涙しながらも苦しみながらもイグセムとしての宿業が彼女を苛酷なまでにしばりつけ、イグセムであり続けさせます。自我のヤトリシノとしての人格がすべて燃えてなくなった結果、空っぽの闇の中に、「イグセム」が佇んでいます。ただ、イクタ・サンクレイを討つために。。。
第四章 約束決戦の場は荒野に複数ある岩山。真ん中3つの小ぶりな岩山(1ブロックから3ブロックと命名)を中から大サイズの5つの岩山(こっちは4ブロックから8ブロックと命名)が取り囲む感じ。こちらの戦力は2400、イグセム派捜索隊は5000強。約2倍の戦力差。ただ、通常の拠点防衛ならば十分4日間は守り切れるはず。しかし、相手にはヤトリがいます。 この拠点防衛ができるか否かでクーデターの結末が決まる。もちろんこちらには、心神喪失状態の皇帝陛下と佞臣トリスナイ宰相も一緒にいます。イグセムはできれば彼らを取り返して保護したいでしょうが、先の勅命で自分の身命を気にせずに逆賊を誅せよといっているので、これを切り札に交渉は不可能です。。。ホントトリスナイやってくれますよね(-_-)。最悪の男です。
そして、各ブロックの拠点防衛指揮官を任命していきます。マシューもいますが、トルウェイは遊撃の狙撃部隊ということであえて特定のブロックを担当せず。他のブロックはシバ少将の部下などにお願いします。そして、もうひとりイクタは自分の副官のスーヤ曹長も指揮官に。ただ、尉官にもなっていないのでその場で野戦昇進で中尉に仮任官させます。
そしてみんなには、ヤトリは掛け値なしに自分と同等の指揮能力を有しているので油断しないように言います。戦いを前にシャミーユは自分がトリスナイを早々に殺害していればこんなことにはならなかったと言います。そして、イクタを軍人にして自分の野望に巻き込んでしまったことをわびます。
他方イクタは最初はシャミーユを恨んだのですが、今は感謝しているとのこと。というのは、当時イクタはヤトリを軍人にしないことで、この国を捨てさせることで救おうとしていたのですが、それはそもそもできない話で行き詰っていたんです。ヤトリがヤトリとしてい続ける、ヤトリを救うには自分が軍に入って軍を、国を変えていくしかないという結論に行きついたんです。いっくんどこまでいってもヤトリなんですね。。。女性なら本当に惚れてしまいますね。。
いよいよ決戦です。レミオン派の援軍が来るまで持ちこたえられればイクタ達の勝ちです。戦いは熾烈を極めます。外側のブロックも5ブロックのうち3ブロックはイグセム派に奪われます。戦闘最中、引き際を見誤ったスーヤはヤトリと直接交戦し、その結果捕虜となってしまいます。死人も半端ない数です。その中でもトルウェイの遊撃狙撃部隊がいたおかげでどうにかイグセム派の蹂躙は免れます。ただ、ヤトリにしてみればそれも織り込み済みで兵が1500近く死傷することも加味した強行作戦だったんです。ホント腹をくくっていますね。しかも相手が今まで一緒に戦ってきた友軍ですから生半可な心では壊れてしまいますよね。。。
そんな最中、軟禁状態のはずのトリスナイがイクタの元にやってきて、勇戦しているなどとおべっかを言ってきます。こいつホント人の命をなんだと思っているんでしょう?トリスナイの目的は何なのでしょうね?とそこで現在の帝国の体制の話になります。トリスナイは貴族が堕落したのは、番犬である軍、ひいてはイグセムが優秀すぎたからだと言いだします。また、腐敗しきった貴族も自分にとっては目の上のたんこぶだったので、レミオン大将が一掃してくれてよかったとも言います。
こいつは何をしたいんでしょう?とそこでイクタも理解します。トリスナイは皇帝が歴史上稀有なる力を持っていた、現人神と崇め奉られていた時代の体制にしたいんです。トリスナイは本気で皇帝陛下を崇拝しているんです。そのためには愚鈍な皇帝ではなく、神としてふさわしい皇族が皇帝になるのが正しい姿だといいます。そしてそれがシャミーユなのだと。イクタはこのトリスナイの狂信ぶりに恐怖します。トリスナイは自分の本心を全て語ったうえで、改めてイグセムを滅ぼしてそしてシャミーユ皇帝のもと、イクタが皇帝の右腕として軍を率いろといいます。
愛国心のある者からしてみれば、皇帝陛下を敬愛する者たちならばこの選択肢もありだったかもしれません。。ただ、そのために幼いシャミーユの心をもてあそぶさまは、イクタにとっては玩具にしているとしか見えません。そもそもイクタは帝国の未来よりもヤトリの未来を考えての行動ですから。。なので、きっぱりと断ります。これには、トリスナイも「残念です。あなたもついに、分かって下さらなかった」といって下がります。この言葉、すごく重いですよね。おそらく同じような話をバダ・サンクレイにもしたと思います。なので、あなた「も」なのでしょうね。また、「ついに」と言っているので、最後通告に近いものなんでしょう。なので、トリスナイの中でイクタは完全に処分対象になったように思えました。。。(>_<)。
そんなこともあり、やっと4日目の朝になります。予定では今日レミオン派の援軍3000強が到着予定です。このまま正攻法では攻めきれないと判断したヤトリは、前日から他の部隊に付近に薪や生木を取りに行かせており、それを奪った北側のブロック(岩山)の上に配置していました。ほとんど運任せですが、北風が吹いてきた場合にこれらを焚いて煙幕にしようという魂胆だったんです。運命のいたずらかヤトリは賭けに勝って、強い北風が吹き、煙幕を張ります。最後の戦いということで、ヤトリも自ら煙幕の中特攻します。煙幕によって周りが見えなくなり、即席の夜戦状態になります。混乱する部隊。そんな中、マシューは岩山から足を踏み外して片足を折るけがをして戦線離脱です。
本丸までヤトリが届くと察してイクタはトルウェイとともにヤトリを迎え撃つ準備をします。予め舞台は用意していたみたいです。ただそこにたどり着くまでに、悲しいほどの同士討ちが行われます。ヤトリとイクタの直属の部隊ですから、お互い顔見知りばかりです。それでもお互い殺し合うという正気の沙汰とは思えない状況に兵も心が壊れていきます。
そして、ついに包囲網を突破したヤトリ、目の前に敵将「イクタ・サンクレイ」を見据えます。距離にして40mぐらいでしょうか。そこを一気につめて、感情が噴き出す前に一刀のもとにイクタの首を落とそうと走り出しますが、思わぬところから狙撃されてしまいます。岩山の上部からの狙撃はあらかじめ想定していたのですが、なんと狙撃は足元、地中からきました。すべての弾はヤトリの体に吸い込まれます。ただ、ヤトリの体を貫通することなく、あたった鉛玉はそのまま地面に落ちます。数にして7、8弾。ヤトリは状況を理解できずにいます。イクタはヤトリを殺したくないので、あえてトルウェイ達狙撃部隊に威力を抑えた弾で狙撃させたんです。
本来のイグセムならばそんな甘い相手は気にせずそのまま切り込むのかもしれませんが、ヤトリの心、イグセムとしての心を折るには十分でした。ヤトリは初めての敗北を味わいます。風が吹き抜け視界が開けてくるにつれ、周りが見えてきます。そして予想通り岩山の頂上にも狙撃兵が4名いました。うち2名は今もしっかりとヤトリを狙っていますが、残りの二名は別の者を狙っています。異常に角度が急でどちらかというと足元の味方を狙っているような。。。そこでヤトリは2名の狙撃兵の狙いを察します。ターゲットはイクタです!そう思った時点でヤトリは動いていました!イクタをかばって狙撃兵の全弾は彼女を貫いていたんです!
状況が呑み込めないイクタ達、一瞬の空白ののち、トルウェイの上だ!という声で狙撃兵(おそらくトリスナイの手の者で、旭日連隊にも紛れ込ませていたんでしょう)を倒しますが、イクタにはもはや何も聞こえず。。ヤトリの体から失われていく血を止めるのに半狂乱になっていました。ヤトリは自分の半身(ヤトリシノ)の部分はすべてこま切りにして焼き尽くして灰にしたつもりが、まだ残っていたことに驚きと安堵感があったと思います。。
泣きじゃくるイクタに、ヤトリは「出会ってくれてありがとう」といいます。そして、自分はあなたの半身なのだから死んでもあなたの中にいるからとも。。管理人も涙が止まりませんでした。ヤトリのためだけにここまでやってきたイクタにとっては絶対に受け入れられない現実に、イクタはただただ泣くだけです。。。
その後騎士団とシャミーユがきたときには、既にヤトリは息を引き取っています。そばにはただただ号泣する半身を失ったイクタがいるだけでした。。。
エピローグ最終決戦のその後は、イグセム派のメグ少佐の指示で戦闘中止。ヤトリを失ったことで士気が落ちたこともあり、また、もともと知った仲間同士の殺し合いで、これ以上継続はできない状態です。お互い戦いなど望んでもおらず、それからは敵味方関係なくけが人の手当てをします。
イクタは指揮が取れる状態ではなく、トルウェイが引き継ぎます。そして、中央に引き上げることに。。ただ、その際にイグセム派とひと悶着ありました。それはヤトリの遺体の処遇です。当然ですがメグ少佐はイグセム元帥の元へ連れて帰ると言ったのですが、イクタは断固拒否。結局メグ少佐も折れて、「丁重に扱う」ことを条件にします。
その後、旭日連隊は本陣営に戻り、シバ少将に事の顛末を報告。ただ、やはりイクタは指揮をとれる状態ではありません。陛下の身を確保した以上やるべきことは一つです。陛下を伴って帝都入りをします。旭日連隊はその4000人を連れだって帝都に入りします。現在帝都はレミオン派と旭日連隊が共同で警備をあたっている状態です。
この結果、さすがにイグセム派も大人しくしているしかない状態です。あとは皇帝、もとい、宰相トリスナイに勅を出させればいいのですが、これはなかなか一筋縄ではいかなそうです。
一方、シャミーユ殿下は自室で落ち着いています。周りにはハロがいつも控えるようにしていますが、ハロが席を外したすきにトリスナイが宮殿内の隠し通路を通ってシャミーユに接触してきます。シャミーユを守ってくれていたイクタ、ヤトリがいなくなった今、結構このあたりの警備が手薄になってしまっています。
トリスナイは、シャミーユを守る者達がいなくなったことを言いことに、やりたい放題、というか言いたい放題です。最初イクタは利用価値があると思ったが、至高の存在である皇族であるシャミーユ殿下の保護者気取りで凡庸な幸せを押し付けようなどとは誅殺に値するので、自分がイクタを殺そうとしたこと。ただ結果として生き残り、ヤトリが死んだが、シャミーユ殿下としてもヤトリを疎ましく思っていたのだからよかっただろうとか。
さらには今回意図的に軍隊を割ってクーデターを起こさせたのは、シャミーユ殿下にカドヴァンマニニクのやんごとなき血統に目覚めてもらうためという始末です。そして、もしシャミーユが目覚める気がなければもっと大規模な混乱を招く必要があるなどと言いだします。
シャミーユはこんなトリスナイの発現を聞いて、こいつは佞臣どころが、禍(わざわい)そのものだ。もうこれ以上誰も傷けたくない。そこまでいうのならば自分が相手をしてやると思うようになります。
そのシャミーユの心境の変化を知り、トリスナイはシャミーユにメモを渡します。今夜の零時にこの指示通り動くようにと。そうすればなすべきことがわかると言って去っていきます。
そのメモには、今上陛下の寝所への隠し通路が書かれていました。そしてシャミーユは今一人今上陛下の目の前にいます。ただ、陛下はもう心神喪失状態で何の反応も示さず。そして、トリスナイの計らいが側付き精霊もいません。。。そしてその横にはなぜか短剣が置かれています。シャミーユは意を決してその短剣を手に取ります。。
午前2時、突然玉音放送が発せられます。そして、今上陛下が亡くなったと伝え、新しい皇帝に、シャミーユが即位したことを宣言します。そして、宮殿内にいる者に、白聖堂に来いとも。。。どう考えても異常事態ですよね。。。しかも即位したのが第一皇子でも第一皇女でもなく、第三皇女ですし。。
騎士団の面々も含め、白聖堂にいくとそこには漆黒の装いのシャミーユが玉座にいます。ただ、もはや今まで知っているシャミーユではなく別人のような王者の風格をまとっています。ただこれは悪い意味でですが。。。そんなシャミーユの様子に唖然とする一同。そんな中トリスナイだけはシャミーユが目覚めたことに至上の喜びを見出し、お祝いの言葉を述べます。シャミーユはそんなトリスナイに対して、褒美をやろうと言って、自らトリスナイの指の爪を力づくではぎとります。5本もです!!異常な光景ですよね。そんなことをされてもトリスナイは忠誠の態度を変えないみたいです。。ぞっとしますね。。
これからカトヴァーナ帝国はどうなってしまうのでしょう。。。180年ぶりの女性皇帝の誕生。。。後年シャミーユ陛下は「破壊」の二文字とともに語られる存在に・・・
次回、旭日連隊がどう動くのか、必見ですね。今回はここまで。
続いて、以下の管理人のレーダーチャートを見て下さいね。 |
ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン7巻の管理人評価チャート
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